多焦点眼内レンズ

icon多焦点眼内レンズの手術費用について

「選定療養」という枠組みで多焦点眼内レンズを用いた白内障手術において手術費用が保険適用されるようになりました。
国内で認可された多焦点眼内レンズは、2020年3月まで先進医療として扱われ、手術費用と眼内レンズは完全自費診療でしたが、2020年4月より、手術費用部分のみ保険が使用できる「選定療養」になりました。
白内障手術自体は健康保険適応となり、多焦点眼内レンズを選択することで増える費用についてのみ自費で追加費用をお支払いいただくことで手術をおこなえるようになりました。
具体的には、多焦点眼内レンズを使って白内障手術を受ける場合、通常の白内障手術の自己負担額(3割負担の方で片眼約4万円)に、多焦点眼内レンズを使用するために生じる差額(レンズの種類によって15万から29万円)を選定療養費としてお支払いいただくことになります。これまでのように全額が自費診療ではないため、負担は軽くなります。
多焦点眼内レンズの手術費用について

icon選定療養とは

社会保険に加入している患者さまが追加費用を負担することで、保険適用外の治療を保険適用の治療と併せて受けることができる、保険外併用療養費制度の一種です。
詳細は厚生労働省のホームページ「選定療養」についてご覧ください。

眼内レンズの種類

白内障手術時に取り出した水晶体の代わりとなる人工の水晶体を眼内レンズといいます。眼内レンズには大きく分けて2つの種類があり「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」の2種類があります。
単焦点眼内レンズ
イメージ
単焦点眼内レンズ
ピント
1か所
メガネ
必 要
長 所
ピントの合うところはよく見える
短 所
1ヵ所とその前後にしかピントが合わない(遠方、近方どちらかを見るために眼鏡が必要)
多焦点眼内レンズ
イメージ
多焦点眼内レンズ
ピント
2か所(遠近・遠中)
メガネ
不要だが、1から2割程度の方は
見えにくい場合は必要
長 所
遠近がまずまず見える
短 所
コントラストが低い夜間、光がにじんで見えるため夜の運転を
頻繁にされる方にはおすすめできません。
複数の距離にピントが合う「多焦点眼内レンズ」は様々な種類があります。
近い距離(30cm〜50cm)や中間距離(50cm〜3m)の見え方違いがありますので、生活スタイルをよく考えて選ぶ必要があります。

眼内レンズの種類と生活シーンの関係

眼内レンズの種類と生活シーンの関係

多焦点眼内レンズが向いている方

  • 遠視の方(手元のみメガネを使用、遠方は裸眼で見ている)
  • なるべくメガネの使用頻度を下げたい方
  • スポーツをよくされる方でメガネの使用を減らしたい方
  • 仕事で遠くと近く両方の視線が必要な方
多焦点眼内レンズが向いている方
多焦点眼内レンズが向いている方
多焦点眼内レンズが特に向いていると思われる職種や生活環境・趣味をご紹介します
職  種 理容師、美容師、教師、農業、漁師
生活環境 ゴルフ、スキューバダイビング、旅行、釣り
ライフスタイル テレビ視聴、車の運転(主に夜間走行をする方には不向きです)、お買い物、お化粧など

多焦点眼内レンズをお勧めできない方

多焦点眼内レンズは職業や趣味などによって向き不向きがありますので、すべての方が良い結果を得られるわけではありません。どのような場合でも手術前にしっかりと検査をした上で、適切な判断が必要となります。
  • 白内障以外の病気がある方(不正乱視、緑内障による視野障害、黄斑変性症などの眼底疾患がある方)
  • できるだけハッキリと見えるように視力の質を最優先したい方(多焦点では多少コントラストが低下します)
  • 精密作業を仕事としている方
  • ドライバー関係の職種をしている方(特に夜間に運転することが多い方)
※多焦点眼内レンズであっても、メガネが必要になる方もいます。